美容師の辞める理由ランキングTOP5は?美容師の実情を徹底解剖

美容師の辞める理由ランキングTOP5は?美容師の実情を徹底解剖

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美容師の仕事は、長時間労働休憩や休日を取れない安月給など、「つらい」「大変」というイメージを持つ方も多いでしょう。

さまざまな企業や大学が美容師の就労状態について調査や研究をしていますが、これらの結果からも、上記のようなイメージは、だいたいその通りです。

実際の統計結果や研究の報告などを踏まえながら、美容師が辞める理由ランキングTOP5について、深掘りしていきましょう。

美容師が辞める理由ランキングTOP5

美容師が辞める理由ランキングTOP5は、以下の通りです。

美容師が辞める理由ランキングTOP5
  • 1位「給与が安い・収入が不安定」
  • 2位「人間関係」
  • 3位「拘束時間が長く、激務である」
  • 4位「心身の不調(腰痛、手荒れ、メンタルの不調など)」
  • 5位「社風やサロンの雰囲気が合わない

※本記事のランキングは、株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミーの「美容就業実態調査2023」、「美容師の社会的スキルレベルと離職の関連性 」(松本啓子,2012)の内容を踏まえて作成しました。

では、1位から順に解説していきます。

1位「給与が安い・収入が不安定」

美容師の辞める理由ランキング1位は「給与が安い・収入が不安定」です。

美容就業実態調査2023」では、美容師を辞めた理由(複式回答)として最も多かった回答が「給与に関して不満があったから(給与が低い、収入が不安定など)」で、全体の24.5%でした。

また同調査ににおける「転職理由」「初職の転職理由」についても、「給与に関して不満があったから(給与が低い、収入が不安定など)」の回答が最も多いという結果でした。

【美容師を辞めた・離れた理由】
Q.その職業(美容師)を辞めた・離れた理由として、あてはまるものをすべてお選びください。
・給与に関して不満があったから(給与が低い、収入が不安定など):24.5%(1位)

【転職理由】
Q.美容師として職業は変えずに別の店(会社)に転職したことがあると答えた方にお聞きします。転職した理由として、あてはまるものをすべてお選びください。
・給与に関して不満があったから(給与が低い、収入が不安定など):36.6%(1位)

【初職転職した理由】
Q.学校を卒業後、社会人として初めて就職した勤務先を辞めた/転職した理由として、あてはまるものをすべてお選びください。
・給与に関して不満があったから(給与が低い、収入が不安定など):19.2%(1位)
参考:美容就業実態調査2023|株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー(p.15,80,89)

また、2012年に発表された研究「美容師の社会的スキルレベルと離職の関連性」(松本啓子,2012)では、美容師の退職理由として給与や労働時間を含む「労働条件」が「人間関係」と同率で1位でした。

同研究によると、入社3年未満のアシスタントの平均年収は約200万円と、かなり低い結果となっています。

その中で、アシスタントは営業終了後のレッスンや講習など、勤務時間には含まれない「サービス残業」が続くことを考えると、美容師、特にアシスタントの労働条件はかなり悪いといえるでしょう。

2位「人間関係」

美容師の辞める理由ランキング2位は「人間関係」です。

美容就業実態調査2023」では、美容師が退職した理由として「人間関係」に関する項目を合計したところ、3番目に多いという結果でした。

(複式回答のため、単純な合計は正確な数値ではありません。)

ただし「転職した一番の理由」「初職転職した一番の理由」に関する単式回答の質問においても、人間関係に関連する回答が2位となっています。 美容師の仕事における人間関係構築の難しさが伺えますね。

【美容職業を辞めた・離れた理由】
Q.その職業を辞めた・離れた理由として、あてはまるものをすべてお選びください。
・働いているスタッフの人柄が良くない・自分とは合わなかったから:14.8%
・上司(オーナーや店長)と考え方,意見が合わなかったから:8.9%
 →合計23.6%(3位) ※単式回答の設問はなし

【転職した一番の理由】
Q.美容師として職業は変えずに別の店(会社)に転職したことがあると答えた方にお聞きします。転職した一番の理由を1つお選びください。
・働いているスタッフの人柄が良くない・自分とは合わなかったから:6.1%
・上司(オーナーや店長)と考え方,意見が合わなかったから:6.8%
 →合計12.9%(2位)

【初職転職した一番の理由】 Q.学校を卒業後、社会人として初めて就職した勤務先を辞めた/転職した理由として、一番の理由を1つお選びください
・働いているスタッフの人柄が良くない・自分とは合わなかったから:8.9%
上司(オーナーや店長)と考え方,意見が合わなかったから:6.6%
合計31.5%(2位)
参考:美容就業実態調査2023|株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー(p.15,80,89)

また「美容師の社会的スキルレベルと離職の関連性」(松本,2012)によると、美容師の離職理由として「労働条件」とともに最も多かった回答が「職場の人間関係」でした。

美容師は技術ありきの仕事です。職人気質な人も多く、うまく人間関係が築けないことも多いでしょう。

また、美容師は、美容学校を卒業して国家資格を取得したとて、美容室の現場ではまだ何もできない状態です。 実際の現場における施術方法やカット・カラーなどの方法や技術について、就職先の先輩に学ぶしかありません。

よって、先輩が理不尽に厳しかったり、気難しい性格だったり、相性が悪かったりすると、その美容室での仕事は毎日が苦痛となるため、早いうちに退職や転職に踏み切る美容師も多いのでしょう。

3位「拘束時間が長く、激務である」

美容師の辞める理由ランキング3位は「拘束時間が長く、激務である」です。

美容就業実態調査2023」では、美容師が退職した理由(複式回答)として「拘束時間に関して不満があるから(休みが少ない、労働時間が長いなど)」が12.5%で8位、さらに「仕事内容がハードだったから」という理由が4位と上位を占めていました。

【美容職業を辞めた・離れた理由】
Q.その職業を辞めた・離れた理由として、あてはまるものをすべてお選びください。
・拘束時間に関して不満があるから(休みが少ない、労働時間が長いなど):12.5%(8位)
・仕事内容がハードだったから:12.5%(4位)
参考:美容就業実態調査2023|株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー(p.89)

また「美容師の社会的スキルレベルと離職の関連性」(松本,2012)によると、美容師の退職理由として給与や労働時間などを含めた「労働条件」が同率1という結果でした。

同研究によると、美容師、とくにアシスタントの労働時間は12時間以上である人が多く、深夜の時間帯にまで及ぶことが多いようです。

ただし、営業終了後に行われるレッスンや講習など、技術訓練の時間は勤務時間として計算されないため、残業代も支払われないことが当たり前となっている実情があります。 基本給も安いうえに、練習時間を含めると労働時間は12時間以上に及ぶという激務である実情から、美容師の仕事に「大変」「つらい」というイメージが拭えないのも無理はないでしょう。

4位「心身の不調(腰痛、手荒れ、メンタルの不調)」

美容師の辞める理由ランキング4位は「心身の不調(腰痛、手荒れ、メンタルの不調)」です。

美容就業実態調査2023」では、美容師が退職した理由(複式回答)として「体調を崩してしまったから」が17.2%で6位でした。

さらに同調査において「初職を転職した理由(複式回答)」と、「初職を転職した一番の理由(単式回答)」として「体調を崩してしまったから」が20.9%、16.9%で両者とも2位という結果でした。
(複式回答、単式回答ともに「結婚・妊娠・出産」が1位)

【美容職業を辞めた・離れた理由】
Q.その職業を辞めた・離れた理由として、あてはまるものをすべてお選びください。
体調を崩してしまったから:17.2%(6位)

【初職転職した理由】
Q.学校を卒業後、社会人として初めて就職した勤務先を辞めた/転職した理由として、あてはまるものをすべてお選びください。
体調を崩してしまったから:20.9%(2位)

【初職転職した一番の理由】
Q.学校を卒業後、社会人として初めて就職した勤務先を辞めた/転職した一番の理由を1つお選びください。
体調を崩してしまったから:16.9%(2位)
参考:美容就業実態調査2023|株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー(p.16,17,89)

美容師の体調不良として、立ちっぱなしや長時間労働による「腰痛」、シャンプーや薬剤の刺激による「手荒れ」などが挙げられます。

また、「美容師の社会的スキルレベルと離職の関連性」(松本,2012)では、美容師にはメンタルの不調が他の職種と比較して起こりやすいことが示唆されています。

美容師と「システムエンジニア・プログラマー」、「家電製造業の従業員」の2つの職業を比較したところ、「仕事の質」、「人間関係」、「会社の将来性」、「金銭問題」の4つのストレス要因について、美容師が有意に多く抱えているという結果でした。

また、同研究において、美容師をスタイリストとアシスタントに分け、両者の抑うつ反応を比較する調査も行われました。

結果、アシスタントにおける抑うつ反応を示す美容師の数は、スタイリストよりも有意に多いという結果でした。

つまり、美容師の中でもアシスタントがスタイリストと比較して抑うつ傾向になりやすいとみられます。

この結果は、アシスタントの労働条件の悪さや立場の低さによる人間関係に関する負担などが原因となっていることが考えられるでしょう。

これらの調査や研究から、美容師を辞める理由として、手荒れ・腰痛・腱鞘炎などの体調不良だけではなく、メンタルの不調も含まれることが推測されます。

5位「社風やサロンの雰囲気が合わない」

美容師の辞める理由ランキング5位は「社風やサロンの雰囲気が合わない」です。

美容就業実態調査2023」では、美容師が退職した理由(複式回答)として「サロンの雰囲気やテイストが合わなかったから」が26.1%で1位でした。

また、転職した一番の理由(単式回答)としては9.5%で3という結果でした。 (※初職転職した一番の理由(単式回答)では2.3%で10位と割合は少なめ。)

【美容職業を辞めた・離れた理由】
Q.その職業を辞めた・離れた理由として、あてはまるものをすべてお選びください。
サロンの雰囲気やテイストが合わなかったから:26.1%(1位)

【転職した一番の理由】
Q.美容師として職業は変えずに別の店(会社)に転職したことがあると答えた方にお聞きします。転職した一番の理由を1つお選びください。
サロンの雰囲気やテイストが合わなかったから:9.5%(3位)
参考:美容就業実態調査2023|株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー(p.81,89)

美容室の数はコンビニの店舗数より4~5倍ほど多い(2023年5月末のコンビニ9チェーン店舗数合計は5万7,978店舗)という統計がでています。

参考:令和4年度衛生行政報告例|厚生労働省コンビニ9チェーン都道府県別の店舗数公開 問われる店舗運営力|日経クロストレンド

つまり、美容室の雰囲気やテイスト、さらに客層やサービス内容などは、無数にあるといっても過言ではありません。

膨大な数の美容室から1つの就職先を選ぶのですから、「働いてみたら自分の好みや考えとはあまり合わなかった」ということは、美容業界ではよくあるのではないでしょうか。

ただし、裏を返せば、転職先も無数にあるということです。

「前に働いたサロンの雰囲気や方針が合わなかった」という経験を活かして、次のサロン選びを慎重に行うことで、より自分に合った職場で、気持ちよく働くことができるようになるかもしれませんので、前向きに考えることをおすすめします。

ここまで、美容師の辞める理由ランキングTOP5をご紹介しました。

実際の統計データから、やはり美容師は給与の安さや長時間労働に悩み、それが退職の決断にもつながっていることが伺えます。 では、そもそも美容師は他の業種と比較して、離職率は高いのでしょうか。

他業種より高い美容師の離職率

結論、美容師の離職率は他の職種と比較して高いといえます。

美容就業実態調査2023」によると、美容師の離職率(美容師資格を持っており、過去に美容師として働いていた人の割合)は46.5%です。

厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」では、全体の離職率が15.0%であるため、数値でみると美容師の離職率が平均よりも非常に高いと考えられます。

参考:令和4年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省(p.11,12)

また、「美容師の社会的スキルレベルと離職の関連性」(松本,2012)において、美容師の退職率は、

  • 入社1年目:45%
  • 入社3年目:72%
  • 入社5年目以上は88%

という結果でした。

他のサービス業での新卒者3年後の離職率については、

  • その他のサービス業:21.2%
  • 服飾販売業が30
  • 外食産業が45%

であった(就職四季報,2008)ため、美容師の離職率は極めて高いと推察されています。

厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」では、美容師が含まれる「生活関連サービス業、娯楽業」の離職率は、業界別で3番目に高いという結果でした。

ちなみに、1位は「宿泊業、飲食サービス業」で26.8%、2位は「サービス業(他に分類されないもの)」で19.4%、3位が、美容師を含む「生活関連サービス業、娯楽業」で18.7%です。 美容師単体としての離職率ではないものの、業界としても他と比較すると離職率が高いことが伺えます。

美容師の「辞めたい」は甘えではない!

美容師の辞める理由や、離職率が高い実情がお分かりいただけたのではないでしょうか。

美容師としてやっと国家資格を取得して、社会人として美容室に就職したものの、アシスタントから始まり給料も安い労働時間も長い練習は勤務時間に入らないなど、不安・不満を抱えて「辞めたい」と思う人も少なくないはずです。

統計的にみても、美容師の労働環境は過酷です。

正当な理由があって「辞めたい」と思うことは、全く甘えではありません

美容師はお客様がキレイになるお手伝いをしたり、成人式や結婚式などの晴れ舞台に関われたりする素晴らしい仕事です。

もしも、美容師としての志を高く持っているにもかかわらず、理不尽に長時間労働を強制されたり、全く評価してもらえなかったりという不満がある場合は、思い切って転職を考えてみてもよいでしょう

美容室は、全てが長時間労働・安月給の過酷な職場というわけではありません

中には、アシスタントの段階での練習時間もちゃんと勤務時間に組み込む、基本給の水準が高く福利厚生が充実している、というホワイトな職場ももちろんあります。 まずは今の環境を見つめ直し、どのような条件や働き方が最適か、求人情報をたくさん見ながら情報収集することがおすすめです。

美容師の辞める理由ランキングまとめ

実際の統計から、美容師の辞める理由ランキングをご紹介しました。

美容師の給与は、日本の平均と比較して低く、アシスタントの段階では年収が200万円程度のこともあるようです。

それに加えて、美容師ならではの腰痛、手荒れ、腱鞘炎などの体調不良が重なったり、人間関係によるメンタルの不調が重なったりすると、仕事を休まなければならなくなり、さらに給料が下がり、モチベーションも下がっていくという悪循環に陥ってしまいます

せっかく努力を重ねて美容学校を卒業し、勉強を頑張って国家試験を合格し、希望を持って入った職場で心身ともにダウンしてしまうことは避けたいものです。

そうならないためにも、職場選びは非常に重要であり、慎重に行わなければなりません

今から美容師を目指して勉強する方も、今の美容室から転職を考えている方も、しっかりと自分を分析し、就職先の情報を集め、吟味すれば、良い職場に出会えるはずです。 現代では、ネット上に膨大な数の求人情報が出回っていますので、情報収集を行いながら職場を見極める目を養っておきましょう

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