美容師の三大職業病は手荒れ・腱鞘炎・腰痛!症状と対策法は?労災は使える?

美容師の三大職業病は手荒れ・腱鞘炎・腰痛!症状と対策法は?労災は使える?

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美容師は、クリエイティブでカッコイイ職業であるという印象もありますが、実際は立ちっぱなし手首の酷使など、体力的にもかなり負担のかかる厳しい仕事です。

特に、美容師の三大職業病といわれているのは、手荒れ・腱鞘炎・腰痛です。

本記事では、美容師が抱える身体の不調とその対策方法について、詳しく解説していきます。

【美容師の三大職業病】症状や対策は?

美容師はクリエイティブで美的センスが求められる面もありながら、朝から晩まで立ちっぱなしで手や腕を酷使して働くこともある、体力勝負の職業ともいえます。

そんな美容師の三大職業病といわれているのが「手荒れ」「腱鞘炎」「腰痛」です。

実際に美容師として働いていて、これらの症状に悩んでいるというも多いのではないでしょうか。 その症状と対策を、詳しく解説していきます。

手荒れ

【症状や原因】

美容師の手荒れは、肌のカサカサやひび割れだけではなく、日常生活に支障をきたすこともあるほどの重い症状となることもあります。

手が真っ赤になったり、湿疹ができたり、手の皮がむけて激痛が走り、レジを打つのもままならないという人も。

その最も大きな原因は、繰り返し行う「シャンプー」です。

シャンプーで1日に何度もお湯に触れることで、肌の表面を覆う「皮脂膜(ひしまく)」が溶け出し、はがれることでその下の角層が剥き出しになってしまいます。

そのまま乾燥すると皮膚からどんどん水分が抜け、肌はカサカサに乾燥し、ひどくなるとひび割れや皮むけ出血などの症状も出てしまうのです。

お湯ではなく、温度の低い水であれば、皮脂が溶けてはがれるのを和らげることもできるのですが、お客様相手の美容室で、冷たい水でシャンプーをするわけにもいきません

よって、美容師は手荒れから避けられない職業である、といっても過言ではないでしょう。

【対策】

美容師手荒れの対策は「保湿の徹底」と「肌に刺激を与えないこと」が重要です。

保湿をするとはいっても、忙しい美容師はこまめにクリームを塗ることもなかなか難しいですし、クリームのベタつきが施術に影響することもあります。

そのため、せめて営業時間外では徹底的に保湿するようにしましょう。

具体的には、

  • 営業時間外や休日は必ず一定時間置きに保湿クリームを塗る
  • 就寝中は、高保湿のクリームを塗り、手袋を着用する

などの対策法が考えられます。

また、皮脂膜がはがれて敏感な状態になっている素肌に、カラー剤・パーマ剤などの強い薬剤が触れると重症化する危険性もあります。 薬剤に触れる際は、ゴム手袋を着用するようにしましょう。ゴムアレルギーがある場合は、ビニールなど他の手袋で対応する必要があります。

腱鞘炎(ドケルバン病)

【症状や原因】

腱鞘炎とは、手や指の使い過ぎにより痛みが発生する病気です。

手首や指を動かすことで、筋肉の両端にある「腱」と、腱の通り道である「腱鞘」が繰り返し重なり合い摩擦が起こります。それにより炎症が起き、痛みや動かしにくさにつながるのです。

美容師の腱鞘炎の原因となるのは、主にヘアカット時の親指のみでハサミを動かす行為です。

親指を開いたり閉じたりすることで、親指を伸ばす筋肉の腱や腱鞘で、炎症や肥厚化が起こります。

重症化すると激痛が走り日常生活に支障をきたしたり手術(腱鞘の鞘を開く腱鞘切開)が必要となったりすることも。

このように、腱鞘炎の中でも親指の使いすぎによって起こる、親指の付け根部分の腱鞘炎を「ドケルバン病」といいます。

美容師にはこの「ドケルバン病」に悩む方も多いのです。

【対策】

腱鞘炎の一番の対策は、手首や手指をなるべく使わずに安静にすることです。

とはいっても、手や指は日常生活で無意識に動かしてしまいますし、美容師をしている限り安静にすることはほぼ不可能だといえます。

そんな方におすすめなのが、手首と親の付け根を保護する腱鞘炎用のサポーターです。 サポーターを着用してハサミの扱いに支障がてる場合や、見た目が気になる場合は、営業時間外はずっとつけている、というだけでも、手首の負担を大きく減らすことができます。

腰痛

【症状と原因】

美容師の腰痛の原因は主に「長時間の立ちっぱなし」や「施術中の無理な姿勢」です。

美容師は、休憩時間以外はほとんど立ちっぱなしで仕事をします

施術のしやすさの関係でヘアカット中に座ることはありますが、基本的には自分のお客様がいなくても立ったままで、店内の掃除や他のスタッフのサポートに回ったりしています。

立ちっぱなしが続くと、背骨をまっすぐ保っている脊柱起立筋が常に緊張状態となり筋肉が疲労したり、炎症が起きたりすることで腰痛につながるのです。

また、シャンプーのときに前かがみになったり、カットのときに腰を曲げて全体像を確認したりと、無理な姿勢をとることも腰の筋肉に負担を与え、腰痛の原因となってしまいます。

【対策】

美容師の腰痛は、立ちっぱなしが原因の1つと述べましたが、その人の元々の姿勢施術時の体勢の癖など、多くの要因が重なって起こっている可能性があります。

何が原因で、何を改善すれば腰痛も良くなるのかを知るには、医師の診察を受けるのが一番手っ取り早いです。いつまでも腰痛が改善されない場合は、整形外科を受診しましょう

また、医者を受診するほどではないが、慢性的な腰痛で悩んでいる方は、ストレッチやマッサージサロン、整骨院などに通い、リラクゼーションの時間を意識的に作ることも一つの解決策です。

それで腰痛が改善すれば、定期的に通うことで悪化の防止につながります。

また、カット用にキャスター付きのスツール(背もたれのない椅子)を導入すれば、お客様と同じ目線になって、無理な姿勢をとることもなく施術を行えるようになります。 施術時の腰痛や、身体の扱いにくさに悩んでいる方は、店長やオーナーに相談してみるとよいでしょう。

他にも美容師は様々な身体の不調を抱えている

手荒れ・腱鞘炎・腰痛の三大職業病以外にも、美容師は以下のように、様々な身体の不調を抱えています

美容師が抱えるその他の身体の不調
●首・肩こり
●むくみ
●膀胱炎

首・肩こり

美容師は足腰の痛み以外にも、腕や手首などの多用・シャンプー時の首の前屈などにより、首・肩にも不調が起こりがちです。

日本人は頭を支える筋肉の線維が細いため、肩こりや首の痛みが起こりやすいともいわれていますが、美容師の施術における無理な姿勢も相まってより肩周りの不調も起こりやすくなります。

定期的に首や肩を回し動かして、周囲の血流を改善させるだけでも、血中に疲労物質が溜まりにくくなり症状が軽減する可能性もあります。

長時間の立ちっぱなしによる腰痛にもいえることですが、ずっと同じ体勢でいるのではなく、足、腰、首、肩などを動かして身体の負担を軽減できるよう工夫しましょう。

むくみ

美容師は立ちっぱなしが基本ですので、血流が下半身に滞り、足がむくんでしまいます

血流が滞ってむくみが起こると、酸素や栄養が全身に行き渡ってくれません

よって、冷え性や自律神経の乱れにもつながるおそれがあります。

上述の通り、定期的に体勢を変えたり、足踏みをしたりなど「とにかく身体を動かして血流を促進する」という意識を持っておくことが重要です。

膀胱炎

体力的な話題とは少し離れますが、忙しい美容室ではトイレにいく時間も確保できずに、尿を我慢して膀胱炎を発症してしまう人も多くいらっしゃいます。

膀胱炎とは、膀胱に細菌が侵入して膀胱に炎症が起こり、頻尿や排尿時の痛み、残尿感などが症状として現れる病気です。

特に、尿道が短く膀胱へ細菌が入り込みやすい女性に多く発症します。

軽い炎症程度であれば、服薬と経過観察で改善することがほとんどです。

ただし、炎症が強まり悪化した場合は、炎症がその先の「腎盂(じんう)」にまで到達し、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」を発症してしまうおそれもあるため、早めの受診をおすすめします。

腎盂腎炎では、腰の痛みや発熱が見られ、仕事を休まなければならなくなるかもしれません。

美容師の職業病、労災保険は適用される?

結論、手荒れ・腱鞘炎・腰痛などの美容師の職業病では、労災保険の適用が難しいといわれています。

労災保険とは、労働中や通勤中に発生したケガや病気について、保険金を給付してもらえる制度です。これにより労働者の医療費や通院費の負担が軽減されます。

労災保険の給付を受けるには、認定基準を満たさなければなりません。認定基準を判断する際には、以下の2つの要件が考慮されます。

業務起因性:業務が原因となっていること。
業務遂行性:業務中に発生したものであること。事業主との労働関係のもと、その業務の遂行中に起きた災害であること。
参考:労働災害とは(業務上の負傷・疾病)|厚生労働省 福島労働局

つまり、美容師としての業務が原因となり、業務中に発生したものであることを証明できなければ、労災の適用は受けられません。

例えば、手荒れの治療のための皮膚科の診療費や通院費について。

手荒れは、家で食器洗いをすることでも、冬の強い乾燥が原因でも発生します。そうではなく「シャンプーの繰り返し」が原因で手荒れになったことを証明することは、非常に難しいのです。

また、腰痛の場合。もともと腰痛気味の人が、美容室での労働をきっかけにひどくなってしまったとしても、上記の業務起因性を証明することが難しくなります。

とはいっても、全てが労災認定されないわけではありません

2022年1月には、労働基準法施行規則別表第1の2に基づく職業病リストが改正されました。

これにより、ヘアカラー剤に含まれる「パラトルエンジアミン」パーマ剤に含まれる「チオグリコール酸アンモニウム」よる皮膚かぶれが、労災と認められやすくなっています。

参考:労災補償の対象となる疾病の範囲を定めた職業病リストを改正|厚生労働省

労災認定はケースごとに判断されるため、一概にはいえませんが、因果関係が明確に証明できるものであれば、認定される可能性も十分あるでしょう。

美容師が「健康に」働くために

美容師の三大職業病、その他に美容師が抱える身体の不調について解説しました

腰痛や首・肩こりなど、多くの仕事に当てはまるものもあれば、手荒れ・腱鞘炎・膀胱炎など、美容師の仕事に特徴的な身体の不調もあります。

美容師は側から見ると、クリエイティブでセンスがよく、キラキラした仕事に見えるかもしれませんが、実際はこのような身体の不調はもちろん、精神的な負担も抱えながら頑張っていかなければならない仕事です。

せっかく憧れの美容師になれたのに、身体の不調で退職・転職しなければならないのは悔しいですよね。 もともとの体質の影響など、やむを得ない場合もありますが、体力的にも精神的にも厳しい美容師の仕事を息長く続けていくには、自分の身体のケアも仕事の一環として取り組んでいく必要があるでしょう。

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